【Stay Home】『SCYTHE – 大鎌戦役』デジタル版

ボードゲーマー諸氏はSCYTHE(大鎌戦役)のデジタル版が2018年9月にリリースされていたことをご存知でしょうか?私は外出自粛中の2020年4月に知りました。試しに購入して遊んでみるとこれがなかなか出来がよい。ボード版を持っている人、いない人、プレイ経験のある人、興味はあるがまだ触ったことない人、すべてのSCYTHEファンにお奨めできると思いましたので、その魅力を記事にまとめました。

※つまりこの記事はSCYTHEそのものの紹介記事ではありません。ボード版の知識を前提とした記述になっております。

タイトル画面。日本語化されている。ちなみに背景の絵柄は都度変わる。ボード版と同様に『彼方からの侵略者』拡張は別売りとなっている。画像の例は拡張購入済み。

概要や入手方法

デジタル版はSteamから購入でき、PCにインストールします。対応OSはWindowsと Mac OS X. メモリは4GBあれば十分動くので普段ゲームを遊んでいるPC環境をお持ちなら問題ないでしょう。
日本語化対応済み。一部細かい訳語がボード版と異なりますが混乱はないでしょう。
オンライン対戦可能。ただしそのためにはSteamとは別にAsmodee Digitalのアカウントが必要です。(筆者は未経験)

アルバムモードでJakub Rozalski氏の魅力的なアートワークをじっくり堪能できる。

デジタル版のココが便利!

1. 実行可能アクションを教えてくれる

デジタル版ではプレイヤーに手番が回ってくると実行可能なアクションをハイライト表示してくれます。リソース不足など実行可能条件を満たしていない場合は強調されません。アクション実行可否の判定ではクリミア・ハン国の『弾圧政治』能力も考慮され、資源の実物が足りなくても戦闘カードを所持していればリソースは満足しているとみなされます (カードを残しておきたいときは注意!) 。

クリミア・ハン国手番開始時。画面下のずらりとアイコンが並ぶ部分がプレイヤーマットに相当する部分。選択可能なアクションは明るくハイライト表示されている。この例では前の手番で 行った生産アクションがグレーアウトしている。徴兵アクション(左から5番目下段)のハイライト色が異なるのは、実行可能だが(すでに4回アクションを実行済みなため)やってもあまり意味がないことを示している(コインと戦闘カードを獲得するために実行してもよい)。ボード上に木材がないのに建設可能となっているのは『弾圧政治』能力のため。なお一番左のアクションはファクトリーカードのもの。

2. 目的を達成したら教えてくれる

ゲーム開始時に配られる2枚の目的カードですが、その達成のために決め打ちで戦略を縛るのは中長期的に見て有効ではなく、ある程度ゲームの流れに応じて、可能なら達成しておくといったプレイングになりがちです。ましてや条件が複雑になれば達成そのものを放棄しそのゲームでは忘却してしまうことも多いでしょう。
デジタル版のインターフェイスは親切にも、目的を達成すると表示色を変えて知らせてくれます。ただ画面の左上隅にある小さ目のテキストですのでそれでも見逃しがちなのですが、そのまま手番を終えようとすると注意喚起してくれます。

目的を達成した状態で手番を終えようとすると注意喚起される。もちろん目的達成を先送りして手番を終えてもよい。

3. 移動可能範囲を教えてくれる

ポーラニアの『潜水能力』 や クリミア・ハン国の『彷徨』 など、メック能力を獲得していくにしたがって、ユニットの移動可能範囲は複雑になっていきます。
デジタル版では移動時に到達できる地域(や本拠地)のガイドを表示してくれます。

教えてくれないとわかりづらい移動の例。メック能力は『地域社会』『スピード』の2つがアンロックされている。手番開始時点でラスヴィエトは本拠地隣の村を支配していないが、メック移動の1歩目で踏むことにより2歩目はファクトリーまでジャンプできる。

4. 点数計算してくれる

SCYTHEの点数計算は多項式のため暗算では難しいというか、 多少の記憶力を必要とするのですが(まあメモに書き留めておけって話ではあるのですが)、デジタル版ならそれもコンピューター任せでとっても楽チン。

最終結果の表示。各陣営の得点の内訳が一覧でき、プレイの反省にも活用できる。
画像の人間プレイヤー(=筆者)は星章と地域の獲得数がトップで盤面上これは勝ったと確信するも、終わってみれば民衆の支持がいまひとつだったためAIに惜敗。ぐぬぬ。

5. BGMが鳴る

これまで挙げてきた利点はすべて人間のプレイ負荷を軽減する方向のものでしたがこちらはデジタル版独自の要素。ゲーム中にオーケストラ調の落ち着いた音楽が奏でられます。陣営ごとにそれぞれ平時、戦闘時のBGMが用意されています。

Steamのミュージックプレイヤーを起動して音楽だけを鑑賞することもできる。クリミア・ハン国のBGMが好み。

6. コンピューターが遊び相手になってくれる

まあこれが一番重要かもしれません。人間の遊び相手を募らなくてもコンピューターが相手をしてくれます。人数も強さも調整できるので、自分に合ったスタイルで遊ぶことができます。
なおボットプレイヤーはボード版の『オートマ』ではなく独自のアルゴリズムを実装しているようです。

ゲーム開始前にプレイ人数。担当者とその強さを選ぶことができる。夢の7人戦も可能。

デジタル版のココが残念!

1. ちょっとおバカ

褒めておいてなんですがAIはちょっとおバカというか、周りが見えてないというか、具体的に言うと終了トリガーを引いたくせに最下位になったりします。こっちはトップを取るためにいったんしゃがんでいるのにもぅ。あとブービーのくせにビリをいじめたりします。
要するに弱いというより、トップを取る戦略眼を持たないという感じです。
※ボットの強さによるかもしれません。
※まあ逆に、それがゆえにゲーム時間はおおむね短いです。だいたい1ゲーム30分くらい。プレイ人数を増やすと少し長くなります。一番早いのは3人戦だと思われます(両サイドから新兵継続ボーナスが入るため)。

2. もっと拡張を!早く、早く!

いやあこれだけ手軽に遊べちゃうとね、欲しくなるんですよ。飛行船がっ!
キャンペーンもやりたくなるし、欲望は止まるところを知りません。
更なる拡張のリリースがありますことを祈ってデジタル版のご紹介を終えることとします。

おまけ

2020年6月16日から6月22日に掛けて 短期間公開された『Iron Harvest』デモ版の起動画面のスクリーンショット。プレイ中の画像は取ってなかったです… … 。

SCYTHE の正式ライセンスを受けたRTS『Iron Harvest』が2020年9月1日リリース予定とのアナウンスが発表されました。SteamやGOG.comで配信、プラットフォームはPCのほかPS4やXbox Oneなどコンシューマ機に対応するそうです。こちらも期待大ですね!

Steamストアページ
4Gamer.net記事
doope!記事