アドベントカレンダー:「第1ターンの始まりかた」

さて、今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2022」参加の記事でございます。
今日は1日目、ウォーゲームなら第1ターンです。という無理矢理な繋ぎでもって第1ターンの話をしていこうと思います。

ウォーゲームの第1ターンにだけ適用する特別ルールが設けられていることはさほど珍しいことではありません。初心者向けゲームとして鉄板の『ドイツ戦車軍団(エル・アラメイン)』にさえも特別ルールが存在します。作戦開始を受けた防御側の動揺を表現するために攻撃側に有利な、もしくは防御側に不利な修正をもたらすものは多く見られます。

同じ『ドイツ戦車軍団』のコンパス作戦は少し異なっていて、セットアップルールの中に艦砲射撃ルールが存在します。まずイタリア軍ユニットのセットアップを行い、次いでイギリス軍が艦砲射撃を行ってイタリア軍ユニットのいくつかを混乱させてから、その結果を見てイギリス軍のセットアップを行うという流れです。
このルール構成はちょっと珍しいかもしれません。第1ターンの特別ルールとしてイギリス軍のシークエンスに組み込まれてもおかしくないように思います。コンパス作戦のルールは例外を排する構成で私の好みです。

コンパス作戦のように、ゲームの始まり方に変化をつける手法としての第1ターン特別ルールというものも少なくありません。『Turning the Tables』にはセットアップ後にソ連軍スタックを3つまでだったかな?戦略移動させるルールがあり(押し入れから掘り出せていないのでこのへんうろ覚え)、初見では意味が分からなかったのですが、今になって振り返るとゲームの展開を硬直化させないためのルールだったのかなと思います。

ゲームの始まり方に変化をつけるといえばフリーセットアップがあります。『モスクワ’41』のそれはソ連軍ユニットがアントライドなこともあってくじ引きのようなドキドキ感があります。『河越合戦』はフリーセットアップと移動手順でユニットをマップ端から登場させる方法とで合わせ技になっています。いずれもゲーム開始前からプランニングを求められ、すでに戦いが始まっている感があることから私は「第0ターン」などと呼んだりもします。

June ’44』の第1ターンは特別ルールというにはあまりにも大規模な、そこだけ別のゲームになってしまっている印象があります。前述のとおり私は、ゴテゴテと例外処理がつくのは好まないので、いっそのこと上陸した後から始まるゲームとしてデザインすればいいのではないかと思ったこともあったのですが、これもセットアップに変化をつける手法のバリエーションなのではないかと最近では考えを改めました。

ウォーゲームの第1ターンについてつらつらと書いてきましたが、太平洋戦争ものキャンペーンゲームでの真珠湾攻撃ルールに関しては上記の類型のいずれでもないような気がします。奇襲の表現ではあるんですがこれ、儀式の性格が強いんじゃないかなあ。

という感じで皆さまにボールを投げつけて今年の始球式を締めたいと思います(ノーコン)。

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