「語り」カテゴリーアーカイブ

アドベントカレンダー:Shogun Triumphantを愛でる

2週間のご無沙汰でございます。『War-Gamers Advent Calendar 2024』16日目の記事となります。

12月16日ですね!

さて本日は2024年12月16日。いわゆるバルジの戦いが開始されてからちょうど80年となります。なにやらバストーニュの町では記念イベントなど催されているようで、復元されたティーガーIIが走行する映像がSNSに投稿されているのも拝見しました。

ところが本日の話題はバルジではありません。わしに任せると、こうして大切な記念日を無駄に消尽してしまうのじゃよ、デュフフフフ……。

とはいえ

今回のネタの着想のきっかけもまた記念日でした。12月8日にちなんで『マレー電撃戦』(エポック / IED)を遊んでみようと思い立ち、ルールを読み始めたのでありました。

ルールは読んでみるとちょっと細則が多い印象がありますね。でも戦闘解決方法はちょっとユニークで興味深い。攻撃が防御側に損害を与えることは確定していて、ダイスは攻撃側が受ける損害を決定するために振るんですね。また損害がユニットそのものではなくそのモラルに及ぶというのも、これが唯一ではありませんが採用例は多くないと思われます。他の例では『ベダ・フォム』(GDW / CMJ#89)は遊んだことがありますね。

さて本題

そして連想ゲーム的に、『Shogun Triumphant』(CM#23 / CMJ#54)のことを思い出してしまいました。厳密にはmoraleとcohesionは違う概念らしいですが思い出しちゃったものはしょうがない。

思い出したら無性に遊びたくなってきました。皆さんも数年に一度くらい、無性に桂花ラーメンが食べたくなる時ってありませんか?(桂花ラーメンに失礼)
ちなみに日本語版が出版される際に『決戦!関ヶ原』という邦題が与えられましたが、原題のままのほうがこう、洋ゲー感があり、この愛すべきバカゲーにふさわしいような気がします。(IEDの努力にもバーグ先生にも失礼)

第1ターン終了時

さっそく始めてみました。昔懐かしCyberboardです。
ちょっとユニットの色が毒々しい感じがしますが、XTR版の画像を見ると割と忠実な感じもしますね。

このゲーム、そりゃまあ関ケ原ですから、ゲーム終了まで動かないユニットがたくさんあるのにセットアップをしなくてはならないのが面倒なのですが(まあ活性化してからユニットを並べ始めてもよいのですが)、デジタルだとセットアップ済みのデータから始められるのでラクです。

しかしモジュールを作ってもらった分際で言うのもナンなんですが、これはかなりPBMに向かないゲームですね。戦闘の組み合わせ毎に防御射撃がありますので、そのたびに対戦相手にリアクションを促すメールを送るなら、私だったら「もう対面対戦やろうぜ」って言います。でもソロプレイならそこの煩わしさとは無縁です。

第2ターン終了時。小早川隊が大きく展開している。

このゲームは、幾らかのダイス運があれば第1ターンから小早川隊が西軍として活性化します。西軍ファンはこれを待ち望んでいた!今年こそは勝てる!治部少輔殿も感涙にむせび泣いていることでしょう。

ただし、実際は小早川隊は諸刃の剣というか、他の精強な部隊に比べるとcohesion値がやや低いので脆い。調子に乗るとちょっとしたダイス事故で相手の得点源にもなりえます。

そう、活性化しかり、裏切り判定然り、コマンドポイント然り、随所でダイス運に振り回されるゲームではあります。でもまあギャンブルが当たれば興奮するじゃん?

そんなこんなで「今日はジャンクフードを食いてえなあ」という気分の時には結構おすすめできる一品でございます。

アイキャッチ画像について

Grokに「『Shogun Triumphant』というゲームのパッケージアートを描いて」と注文して生成された画像から比較的破綻の少ないものをチョイスしました。次点は以下。

これも本家コマンドの表紙っぽい色味でいいかなと思ったのですが、太刀の柄と鞘が繋がってない感じがしたので不採用にしました。生成AIは人間の指の数を間違えるとはよく聞きますが、日本刀についてもまだまだ学習していただく必要がありそうです。

念動力系能力者か

アドベントカレンダー:ヘビーメタルのこと

毎度お騒がせしております。今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2024」の開幕記事です。

いきなり私事でありますが、先々週にノートPCが通電しなくなる故障に見舞われまして。しかしまあちょうどその週明けに誕生日ということもあって自分へのプレゼントという名目で次のPCを購入してきました。相変わらず3万くらいの中古品です。消耗品ですから安物を次々買い替えるくらいでちょうどよろしい。ただメモリは少し増設したほうが良いですね。これでまた3年くらいは遊べるのではないでしょうか。

そうしたところでふと、そういえば『ヘビーメタル』(ツクダホビー)も誕生日プレゼントに買ってもらったものだったなと思い出しました。

あれから40年。昨年から「原作アニメ放映40周年記念にかこつけてゲームをプレイしよう!」と意気込んでいるのですが、昨年はついに実現ならず。今年も雲行きが怪しくなってきました。

先月の例会に持ち込まれたブツ

まあそこらへんはさておき、そういうタイミングですので今年は『ヘビーメタル』について書こうと決めたのですが、いざ筆を持つと書きたいことが散らかってしまい、まとまりが見えません。散漫な記事になりますがともかく文字に残しておきます。

なおアイキャッチ画像は今月来日公演が予定されているジューダス・プリーストのボーカリストであるメタル・ゴッド、ロブ・ハルフォード氏の今年のノルウェー、オスロ公演での姿です。今回これだけのために登場してもらいました。すまぬ。
(撮影者:Birdesigns – CC BY-SA 4.0)

前提

とりあえず本稿では便宜上、ツクダホビーから出版された『ヘビーメタル』(HG-031)、『エルガイム・マークII』(HG-040)、『拡張キット』(HG-043)をひとつのシリーズとしてまとめて扱います。
厳密には3つとも移動ルールが異なりますし、マークIIだけ衝突ルールが異なる、リアクション移動がある。ヘビーメタルだけ射撃と剣格闘の損害適用が同時など細かい違いはあるのですが、おおむね同一システムとみなしてよいでしょう。

そういうわけで同じアニメが原作であれどシステムが異なる『スヴェート』は本稿では取り扱いません。また、ヘビーメタルのシステムの源流をたどれば『オーラバトラー』(HG-020)に行き着くのですが、これ(と『ウィングキャリバー』)も範囲外とさせていただきます。

(ただ、結局オーラバトラーが最高傑作だったんじゃないかという気持ちはちょっとだけあります)

【トリビア】ロングスピアの内蔵パワーランチャー

ゲームに付属の武装表において、ヘビーメタルグルーンならびにアトールVが右手に持つロングスピア(どんなビジュアルかはリンクからご確認ください)にはパワーランチャー(ビーム兵器。以下PLと略)が2門内蔵されていると記載があります。

(ソフィアだったか猿遊会だったか)ある日の対戦で「この2門を同時に同一目標に向けて撃つことは可能か」と質問をいただいたことがあります。これは確かに、設定資料を見たことがないとわからないことなのですが、2門のPLがどこに内蔵されているかというと槍の両端、つまり穂先と石突の部分なんですね。なので(槍を分割できるという設定がない以上)同一目標に向けて撃つことは不可能だと考えられます。

では石突のほうのPLはどういう時に使うのか。現実的にはまあ、他のPLがすべて故障した時くらいでしょうか。なおグルーンは両手自体にもPLを内蔵しています。

ここで妄想を広げて、後ろに撃てねえかなあと考えてしまいました。しかしながら狙いはつけ難いでしょうね。一応コクピットは全天周モニターだったと思うので見えるような気はするのですが。あとは射界の問題でしょうか。

射撃武器の射界は上図に示すように5種類あります。背中の射界も規定されてはいますが本件の場合、「右手の射界の裏」というものを定めるべきでしょう。槍は持ち替えることができますので左も。

そうなると独自拡張・ハウスルールの範疇になってしまいますね。広く受け入れられるかはわかりませんが、妄想を広げていくのはファンとしては楽しいものです。

ひょっとしたらここからが本題

このようにあれこれ付け足したい欲望はいくつかあって、例えば拡張キットにはルールやデータが規定されていないユニットがいくつも付録されております。オートジャイロなどのルールを考案すれば物語序盤の、盗賊一家と主人公との争いをシナリオ化できるよなあなどと考えてしまいます。

そう、全話シナリオ化という妄想もあります。なんならDTPが手軽となった現代ですから、汎用マップではなくすべてにユニークなマップを用意するのも楽しいかもしれません。大変でしょうけど。

あとは電子化とかですね。かつてCGIプログラムを用いてPlay-By-Webで対戦していたプレイグループがあったような記憶がありますが、今ならもう少しコンピューターに処理を委ねるWebアプリケーションが作れるような気もします。VASSALでも十分かもしれませんけどもう少し、プロット式システムのサポートとなるようなものが望ましいかなとも思います。

結び

そんな感じでふわふわと浮ついた夢ばかりを語ってみました。皆さんもクリスマスを指折り数えて待つように、ふわふわとご期待いただけましたら、いくつかはお目見えするかもしれません。

とまあなんとなくアドベントカレンダーっぽく締めて明日にバトンを渡したいと思います。

ウォーゲームソムリエ:「簡単な戦略級」

まずはプレイ報告

2月17日(土)の千葉会にお邪魔してきました。

『Brotherhood & Unity』(Compass Games)

3人用(2人プレイルールあり)のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争ゲーム。ルール量は意外と少ないし(クロノノーツゲームさんで和訳ルールが公開されています)、1プレイでカードを全部引くわけではないので毎回展開が変わってリプレイアビリティが高いし、なにより遊んで面白い。ことさらに嫌う理由がないならおススメできます。最終得点計算だけちょっと暗算では面倒くさいかな。これはプレイエイドを自作すると良いと思います。ちなみにVASSALモジュールも公開されていますのでクロノ訳と併せるとゲフンガフン……。興味が出てきた良い子のみんなはクロノノーツゲームさんで注文してね!(余談ですがクロノさんは早くサイトのSSL対応したほうが良いと思います)

さて本題

でまあプレイ後の雑談で対戦相手の方からリクエストというか質問をいただいたのですが、自分では上手い回答を返せなかったのでインターネット集合知に頼ることにしました。

『主計将校』も『数エーカーの雪』も全然、戦略級ウォーゲームだと思うんですけどね。まあユーロっぽくない、ウォーウォーしたウォーゲームをお求めということだと思います。ちなみにヒト帝を除く理由は「もう持っているから」です。特にネガティブな理由はありません。

そういうわけでいろいろお寄せいただきました。その中から比較的入手が容易そうなものを選んでお送りいたします。(AHは駄目じゃろと思いますが公平を期して)

『皇帝ナポレオン』(SS/CMJ#119)
『Pacific Tide: The United States versus Japan, 1941-45』(Compass Games)

『大東亜共栄圏』(ボンサイ・ゲームズ)
『World War I』(DG/CMJ#130)
※SPI版のDecision Gamesによるリメイク(コレジャナイという批判は甘受します)

『An Attrition of Souls』(Compass Games)

『The Lamps are Going Out: World War 1』(Compass Games)
『Imperial Tide: The Great War 1914-1918』(Compass Games)

『ポエニ戦争– ローマ vs. カルタゴ –』(ボンサイ・ゲームズ)

『Hitler’s War』(Avalon Hill)
※リンクはBGG

『Axis & Allies』(originally published by Nova Games)

ちなみにPC版がありますね。
※リンクはSteam

ワイちゃんからも

『ライジング・サン: 日清戦争』(ボンサイ・ゲームズ)
『300: Greco-Persian Wars』(ボンサイ・ゲームズ)

いかがでしたでしょうか?(ヤメロ)

こうして見るとComassとBonsaiが強いでしょうかね。この辺ならだいたい国内ショップで購入して日本語ルールで遊べると思います。それでは素敵なウォーゲームライフを!

アドベントカレンダー:「それ、どんなゲームですか?」

さあ、今年も開幕しました。「War-Gamers Advent Calendar 2023」初日の記事でございます。

本題の前に軽く宣伝を

12/10(日)ゲームマーケット2023秋 シ28 さいたまオフライン
12/16(土)ソフィアゲームクラブ第114回例会
12/30(土)コミックマーケット103 東ホ38b さいたまオフライン

よろすくです。

さて本題

ゲームマーケットが近づいてきたこともあってか、SNSなどで即売会しぐさが話題に上ることも多くなってまいりました。
「概要を知りたくて軽い気持ちで質問したらフルインストが始まってしまって、そこまで興味もないのに離れづらく時間がもったいない、また時間をとって説明してもらったしまった以上、買わないのはどこか後ろめたい」などのエピソードを拝見しました。

こういう場合どうすればいいんでしょうね?というのが今回のエントリです。

この点ウォーゲームは比較的ラクではあります。「独ソ戦です」だけでおおよその地域と期間は限定できますので。また「カデシュの戦いです」でわからない方はそれ以上の情報を求めないので、多くの言葉を費やす必要がないだろうとも言えます。

ただしそれだけでは済まないケースもあります。例えば『Churchill』。ヤルタ会談は授業で習うので多くの人がご存知ですが(たしか習ったよね)「ヤルタ会談のゲームです」で済むかは疑問です。

この場合、大別して2とおりのアプローチが採られるかなと思います。ひとつはストーリー、ナラティブ面から説明をする方法。「プレイヤーは米英ソの3者に分かれて協力しながら第二次世界大戦を終結に導きつつ戦後世界の主導権掌握を目指す」とかですね。

もうひとつはメカニクス面から説明する方法。「手持ちのカード記載のポイントをチップに、議案をセリによって獲得し得点を競うが1位が突出した場合、2位が勝利することもあるゲーム」などとなるでしょうか。

これ、どちらが良いかというと優劣はないんですよね。結局は訊いた人が何を求めているか、ですから。なのでまあ、問う人、答える人双方に、どっちのアプローチもあることをご留意いただきたいかなと願うものであります。問う人におかれましてはあと少し、求める情報についてヒントを付加していただきたく、また答える人におかれましてはどちらの方向からも説明ができるようご準備を願いたく。

参考までに

ここでこのエントリを閉じてもいいのですが、ちょっと別件の調べもので『すばらしきパーティジョイの世界』(坂本犬之介+オフィス新大陸 / スモール出版)を読み返していましたところ終盤の、関係者による座談会記事に本件の参考となりそうな記述を見つけました。

世界観というのかな。パッケージの絵を見て「これは何をするゲームだな」と子供がすぐわかる。怖い魔物が描かれているから対決するゲームなんだな、館があるからそこで何か起きるんだな、脱出するのかな、とすぐにわからせることが大事で — 『すばらしきパーティジョイの世界』p120

私も素人出版に携わる者として、肝に銘じておきたいなと思った次第です。SLGamerの表紙はちょっと伝わり難いよね。まああれはああいうコンセプトなので変えませんけど。別のプロジェクトを起こす際には気をつけていきたいと思います。

アドベントカレンダー:「第1ターンの始まりかた」

さて、今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2022」参加の記事でございます。
今日は1日目、ウォーゲームなら第1ターンです。という無理矢理な繋ぎでもって第1ターンの話をしていこうと思います。

ウォーゲームの第1ターンにだけ適用する特別ルールが設けられていることはさほど珍しいことではありません。初心者向けゲームとして鉄板の『ドイツ戦車軍団(エル・アラメイン)』にさえも特別ルールが存在します。作戦開始を受けた防御側の動揺を表現するために攻撃側に有利な、もしくは防御側に不利な修正をもたらすものは多く見られます。

同じ『ドイツ戦車軍団』のコンパス作戦は少し異なっていて、セットアップルールの中に艦砲射撃ルールが存在します。まずイタリア軍ユニットのセットアップを行い、次いでイギリス軍が艦砲射撃を行ってイタリア軍ユニットのいくつかを混乱させてから、その結果を見てイギリス軍のセットアップを行うという流れです。
このルール構成はちょっと珍しいかもしれません。第1ターンの特別ルールとしてイギリス軍のシークエンスに組み込まれてもおかしくないように思います。コンパス作戦のルールは例外を排する構成で私の好みです。

コンパス作戦のように、ゲームの始まり方に変化をつける手法としての第1ターン特別ルールというものも少なくありません。『Turning the Tables』にはセットアップ後にソ連軍スタックを3つまでだったかな?戦略移動させるルールがあり(押し入れから掘り出せていないのでこのへんうろ覚え)、初見では意味が分からなかったのですが、今になって振り返るとゲームの展開を硬直化させないためのルールだったのかなと思います。

ゲームの始まり方に変化をつけるといえばフリーセットアップがあります。『モスクワ’41』のそれはソ連軍ユニットがアントライドなこともあってくじ引きのようなドキドキ感があります。『河越合戦』はフリーセットアップと移動手順でユニットをマップ端から登場させる方法とで合わせ技になっています。いずれもゲーム開始前からプランニングを求められ、すでに戦いが始まっている感があることから私は「第0ターン」などと呼んだりもします。

June ’44』の第1ターンは特別ルールというにはあまりにも大規模な、そこだけ別のゲームになってしまっている印象があります。前述のとおり私は、ゴテゴテと例外処理がつくのは好まないので、いっそのこと上陸した後から始まるゲームとしてデザインすればいいのではないかと思ったこともあったのですが、これもセットアップに変化をつける手法のバリエーションなのではないかと最近では考えを改めました。

ウォーゲームの第1ターンについてつらつらと書いてきましたが、太平洋戦争ものキャンペーンゲームでの真珠湾攻撃ルールに関しては上記の類型のいずれでもないような気がします。奇襲の表現ではあるんですがこれ、儀式の性格が強いんじゃないかなあ。

という感じで皆さまにボールを投げつけて今年の始球式を締めたいと思います(ノーコン)。

アドベントカレンダー:【Stay Home】「ウォーゲーマーに『Rebel Inc.』をプレイしていただきたい」

皆さまお久しぶりです(1日ぶり2回目)。「War-Gamers Advent Calendar 2021」5日目の記事でございます。
1年以上構想を温めていた記事なのですが、上手くまとまる気配も見えないのでもう放出しちゃいます。

『Rebel Inc.』とは

Plague Inc.』を生み出したNdemic Creationsがその次に開発したゲームです。恐らくコアのエンジンを流用して制作されたと思われます。最初にiOS、次いでAndroid用アプリがリリースされ、さらにSteamからWindows, macOS版がリリースされました。Steamのストアページはここ。プレイヤーはとある架空の戦争が終結したばかりの地域を復興し安定させる任務を帯びてプロジェクトを指導していきます。

ゲームは2002年4月から始まります。 このゲームには具体的な国家、組織、宗教などの名称は登場しませんが、どうやらプレイヤーの立場は国際的な機関から委任され、責任を負っているようです。周囲を山に囲まれたこの土地で人々は生活インフラの荒廃や、行政サービスの不足、経済の不安を訴えており、プレイヤーはそれらの復興に投資を行い、地域の安定化を図ります。

医療、教育サービスや交通・通信インフラ、経済活動への投資を行い復興を支援していく

しかし金の流れる先に不正あり。地域にお金を落とすと汚職のゲージが増加します。恐らく地域や産業界それぞれに地元業者への口利きや橋渡しを担う人物がおり、そこを通過するお金が幾分目減りしていたりするのでしょう。汚職が生じるとプロジェクトの進行に支障をきたします。内部統制で規律をただすことで民衆の支持を得ることができます。

時には逮捕などの強い態度も

そうこうしていると、ゲームマップ内に反乱軍が出現します。これは別にプレイヤーの失策とは関係なしに必ず現れ、彼らと和平を結ぶことで地域の安定が飛躍的に進捗するので結果的にゲームの終了条件となります。プレイヤーは軍事力も行使できる立場であり部隊に直接指示を出して反乱を鎮圧していきます。部隊には連合軍と自国軍があります。連合軍は強力で頼りになる存在ですが、外国の軍隊を招き入れて駐留させることには当然地域住民の反発がありますし、国際的にもあまり体面がよろしくなく、一定期間の後に帰還を迫られます。拒否してもよいのですが評価は落ちます。他方自国軍はそれほど強くはなく、また訓練して実戦に投入できるようになるまで時間がかかるため使いづらい、しかし住民との軋轢は少ない特性があります。内外の顔色を窺いながら要所に連合軍を投入して反乱軍を鎮め、自国軍に隙間を埋めさせることになるでしょう。このほか軍事的な施策にはドローンの投入や空爆要請など純粋に戦術的なオプションをはじめ、基地の設置や武器の調達、地域住民との融和なども実行できます。

このゲームのマップはエリアで区切られており、戦闘は同一エリア内のユニット同士で闘われます。そして反乱軍が不利を悟った場合は隣接エリアに退却しますがここでウォーゲーマーの皆さんならお馴染み、隣接エリアにプレイヤーユニットが存在する場合は退却できず壊滅します。 また戦闘中でない隣接エリアの部隊は戦闘中の部隊を支援できますので、連合軍を前線に立たせ周囲を自国軍で固めて支援するのが理想でしょう。

ウォーゲーマーなら包囲殲滅は常識

そうやってモグラたたきを続けていくとやがて反乱軍と対話するチャンスがやってきます。始めは反乱軍も強気なので交渉のセッティングが上手くまとまりませんが、ガンガン軍事的にやっつけてやると譲歩の姿勢を見せ始めます。やはり力こそパワー。暴力の後ろ盾なしには話し合いを始めることさえできないのです。とはいえこちらの姿勢が強硬だと民衆の人気は得られますが相手の反感は高まります。反乱が激化してこちらが譲歩せざるを得なくなるかもしれません。

和平交渉が開始されると協定締結にあたっての諸条件をすり合わせる必要が出てきます。反乱軍に譲歩を強いる内容を提案するとやはり人気は上がりますが、その内容を見ると武装解除ならまだしも、幹部の投獄などちょっと酷薄なものもあり、そりゃ抵抗も激しくなるわと思います。しかしゲームの難易度によっては多少足下を見られてもとにかく和平を急ぐ決断をすべき場合も出てきます。そこで突っ張って戦乱に収拾がつかなくなるとプロジェクトは遂行不可能となりプレイヤーは解雇されてしまいます。

和平協定を結ぶとゲームクリア

で、言いたいこと

というわけで長々とゲームの流れをご説明してきましたが今回これをブログのネタに取り上げましたのは、直接的にはスマホアプリ版のユーザー評価を目にしたことをきっかけとします。評価全体で見れば好意的なもののほうが数が多いようですので心配はしていないのですが、レビュー単体でみると低評価のほうが同意を集めている傾向が見受けられます。評価の低いものにわざわざレビューをしたためる人が少ないということなんでしょうか。まあそれはさておき、低評価レビューを読む感じ、どうも受け手側の情報の解像度が低いことに起因しているんじゃないスかねそれと言いたくなるものがほとんどです。

ゲームなのだから、パーフェクトな勝利への道筋が用意されているしそれは達成できるものだとユーザーが期待してしまうのは仕方ないです。しかしこのゲームの端々から感じ取れるのは、そんな完全に相手を打ちのめす勝利はロクなもんじゃなかろうということ。またゲームクリア後の統計を見ても、特にプレイヤーとそのプロジェクトが満場一致で支持されたわけでもないことがわかります。積極的な支持者はせいぜい人口の2割ほど、敵対者も消滅したわけではなく、住民のほとんどはどちらにもつかず、将来の国家運営によってはこの平和もまたどうなるのか、危うさを残したままです。

平和もまだ始まったばかり

この0か100かではない中間の状態に一応の勝敗を見ることをウォーゲーマーは習慣的に違和感なく受け容れてきたと思います。また前述のとおり本作には具体的な国家や組織の名称は登場しないのですが、ウォーゲーマーならば本作をプレイすることで色々とナラティブを紡ぎだす材料を心の抽斗にお持ちだろうと思います。そういったわけでまあウォーゲーマーこそが本作を余すことなく楽しめるんだぞという主張を唱え、皆さまにお勧めするところであります。

とりあえず『A Distant Plain』を遊びたくなりますよね。なんでかは知りませんけど。

アドベントカレンダー:「フリーウェアで作るユニット画像」

皆さまご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか。
私は11月の頭にようやく2回目のワクチン接種を完了しまして、とりあえずの安心を得たところです。

さて今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2021」初日の記事となります。
振り返れば前回のエントリーが昨年のアドベントカレンダー記事です。実に1年ぶりの更新となりますね。

皆さまはソフィアゲームクラブ再開の見通しについて関心がおありと思いますが、それはいったん後日に回しまして今回はウォーゲームDTPの話。

さてウォーゲーマーたるものユニット自作のひとつやふたつはご経験があろうかと思います(威圧)。
コンピューターの個人使用が当たり前となった現代。計算機技術がウォーゲーム出版にもたらす恩恵は多大なものであります。皆さんもユニット作成の際はパソコンで何らかのソフトウェアを用いて いらっしゃることと思います。そんななか皆さんはNATO兵科記号のを描画する際にどのような手法、ツールをご利用でしょうか。

LibreOffice Calc

表計算ソフトを使用する方は多いかもしれません。たいていのソフトは図形の描画機能があります。上図くらいの記号なら余裕でしょう。

なんかこれでも良いような気がしてきましたね……。しかし今回お話ししたいのはそうじゃないのです。ただまあこのエントリーは自説の正しさを証明するとかそういう趣旨ではないので、特に表計算ソフトのデメリットをあげつらうこともなく淡々と過ぎ去っていきます。

PostScriptで兵科記号を描く

GUIでオペレーションする(広義の)WYSIWYGなソフトウェアでグラフィックデザインをすると、マウスで的確な位置をポインティングする必要が生じてイラつくことがあります。具体的に言うと、ある図形をちょうどいい場所に配置するとかですね。Adobe Illustratorなんかだとある程度大雑把に置いてから座標のプロパティを数値入力で調整できたりしますが、それもやや煩雑です。

私はコマンドライン操作がまったく苦でない、むしろプログラマブルなのでそちらを歓迎する部族の民でありますから、グラフィックデザインも文字ベースでやりたい。そこで登場するのが古えより伝わるページ記述言語PostScriptです。

PostScript(拡張された Encapsulated PostScript )で長方形と対角線を描く

上図の右側、数字とアルファベットで記述されているのがPostScriptの描画手続きです。簡単に解説すると、指定した 座標 に直線を繋げていく命令を発して図形を描画しています。

私にとってストレスがないのはマウスで繊細な操作をせずに済むところです。座標は数値で表され曖昧なところがありません。そしてこれを作成するために特別なツールは必要としません。ご覧のとおりただのテキストファイルですのでお手元のテキストエディタ(メモ帳などでも。 上図の例ではEmacs)で作成できます。またこのデータは「図形の描き方」であるので、画像そのものよりもデータ量が小さくなります。ちなみに上図のEPSファイルのサイズは197バイト、メガでもキロでもありません。これをJPG画像にエクスポートすると6611バイト(6キロバイトちょい)になります。さらにPostScriptはこう見えて立派なプログラミング言語でありますから……、

同じ図形をよりプログラムらしく記述

……始点と縦横のサイズだけ定義し、その他の座標は計算で導出することができます。ご存じない方のために付記すると、逆ポーランド記法(後置記法)で 記述する スタック志向のプログラミング言語となっています。FORTHなどと同じ。

2つの円弧を追加した

PostScriptは曲線も数字データと命令のセットで描画できます。もうマウスでいい感じのベジェ曲線を作る必要はないのです!

マウスでベジェ曲線苦手なんスよね……

ちなみにPostScriptは文字を表示することもできますので

テキスト表示もプログラミングできる

こんなこともできます。ただまあ、個人的にはテキストと図形は同じレイヤーに置かないほうが後々便利だと思います。

PostScriptを解釈できる画像作成・編集ソフト

さて作成したEPSファイルを画像にするには、PostScriptを解釈し且つ画像としてエクスポートできるソフトウェアが必要なわけですが、さすがにWindows付属のペイントというわけにはいきません(試した)。その点、プロが使うようなツールなら問題ないですが、ちょっと試してみようくらいのモチベーションであれば、安くはないライセンス料を支払うことに抵抗があるかもしれません。そのくらいのニーズにちょうど良いと思われるのがGIMPです。GIMPは元々Unix系OS向けに作られたソフトウェアですが、現在はWindowsやmacOSでも利用できます。

「おめぇ、そんなにCLIが好きならImageMagickだろ」という声が聞こえなくもないのですが、まだちょっと使いこなせてないですね。ウォーゲームのユニットのように、決まったフォーマットで異なるデータを載せた画像を量産したい時に強力なツールになる予感はあるのでこれから勉強させていただきます。

蛇足。

GIMPから生のビットマップデータ(bmp)をエクスポートしたとしましょう。それをペイントで開いてCtl+cなどでクリップボードにコピーすると(PowerShellだとペイントを介在させなくてもできるのかな?)

昔なつかしCyberboard

こういうこともできます。いや、今どきやる人もいなさそうですが。でもまあCyberboardって、プロトタイプを手っ取り早く形にするには手軽なツールだと思うんですよね。そんな感じで公開の時が迫ってきました(30分くらい)ので今日はここまで。まったねーノシ

アドベントカレンダー:「陸軍の歩兵ゲーム」

どうも皆さんこんにちはorこんばんは。「War-Gamers Advent Calendar 2020」9日目の記事です。

今回は時事ネタです。どこらへんが?と思っても特に検索とかしなくていいです。
仮に男子中学生から「陸軍の歩兵ボードゲームってありますか?」と問われたとき、ソムリエ諸兄はどうしますか?(仮定の話じゃないじゃん)

もうね、お前らダメだ。全然ダメだよ!
かろうじて、まず趣味趣向の聞き取りから着手したのが1人だけという惨憺たるありさま。
シッダウン、シッダウン!ステイ!ステイ!。

いいですかお前ら。ソムリエたるもの顧客の要望の聞き取りと背景のプロファイリングをを怠ってはなりません。

ここでN村さんのツイートを引用します。

うむ。同意であります。

補足すると「入手が容易」というのは(とかく絶版情報に接することの多い我々ウォーゲーマーはそう思いがちですが)単に市場に出回っているということだけではなく、支払い能力やショップへのアクセス性なども加味しなくてはなりません。大手メーカーの最新作であったとしても海外サイトに英語で個人輸入してクレジットカードで支払うしかないとしたら中学生が入手できるでしょうか。また在庫に関しても10年前の作品はもう正価で入手はできない、古い商品とみてよいでしょう。

それから難易度。ひとことで難しいと言っても「ゲームに勝利するのが難しい」「ゲームシステムを理解するのが難しい」「ルール記述の真意を誤解なく受け取るのが難しい」「ルールをすべて覚えて漏れなく適用するのが難しい」など複数の側面があって、これを明確に別のものとして言い分けている人をあまり見ません。 大抵は全部まとめて「難しい」の箱に投げ入れられてしまいがちです。

それとソムリエに限らず、顧客が要件を過不足なく言語化して定義できているとは限らないことにも留意しなくてはなりません。行き届いたヒアリングで顧客が本当に必要としているものに向けて意識をすり合わせていきましょう。

有名なやつ

そしてそれらプロファイリングスキルを駆使してウォーゲーム一級ソムリエのワイが出した結論とは… …

こ れ だ

コマンドマガジン150号『Red Winter』

( ^ω^)・・・

いやね、これを思いついた時は鼻高々だったんですよ。1ユニット中隊規模で、分隊規模のゲームよりはスケールが大きいし、シナリオによっては戦車も出てくるけど、ルールもそこまでボリュームはないし日本語で読める。それにボックスゲームよりも安価だ。発売から1年なので入手もできるだろうと。

「Red Winterが全滅だと!? ものの1年も経たずに…?」

お膝元のa-gameに始まりiOGM、クロノノーツ、イエローサブマリンなど各ネットショップを確認しましたが在庫がありませんでした… … 。

うーん、カッコワルイ展開になってきたなあ。

そうなると執筆時現在、正価で入手できて日本語で遊べて難しくないゲームとなると『Combat Infantry』だろうかと思います。(リンクはBGG)
価格がネックではありますがMMPやGMTの重厚な箱モノよりはまあ、ね。

この後は「陸軍の歩兵ボードゲーム大喜利」でもやってお茶を濁そうかと思っていましたが1時間遅刻してますしこの辺で締めます。いちおう『Trenches of Valor』(Victory Point Games)『D-DAY Dice』(Word Forge Games)『Grizzled』(CMON ltd. / グループSNE)あたりを予定していました。気になったら調べてみてね。それじゃあまたね~!

アドベントカレンダー:「今年のソフィアゲームクラブ」

皆さまご無沙汰しております。まだまだ困難な情勢のなか、お元気でお過ごしでしょうか。
今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2020」初日の記事となります。

まずソフィアゲームクラブのことをお話ししなくてはなりません。
3月の時点でも感染を気にしながらの例会開催でしたが、4月になってついに施設から利用停止の連絡が入り、予約をキャンセルすることとなりました。それを最後に現在に至るまでソフィア会は無期限の延期状態であります。
見渡せばそろそろ活動を再開している団体もあるようですが、弊会はまだしばらくこのままであろうと見込んでいます。

いくつかの理由

そもそもゲーム会という集会形態が感染リスクの塊である

ボードゲームという遊びは、1) 複数人が狭いテーブルを取り囲んで 2) インストラクションやルール疑義の確認など大声で会話しがちで 3) コンポーネントを共有して触れ合うなど、感染リスクが非常に高いことは認めざるを得ません。楽しい趣味でありますがこういった弱点を無視してはいけないと思います。

施設の利用制限緩和がまだ十分ではない

公共施設の利用制限は徐々に緩和傾向であるものの、上に挙げたような脆弱性を踏まえて条件を見るとまだまだ、ゲーム会の開催が許されたとは言い難いのが現状です。リンクはなかのZEROの利用者に課せられたチェックリスト(PDF注意)ですが対面での着席を避ける、利用者間の距離は前後2m, 横1mの間隔をあけるなど、ゲーム会での利用を想定し難いものとなっています。これがゲームでしたらとんちを駆使してルールの穴をつくのも楽しいのですが、ちょっとそういう気分にはなりません。まあ中野区は2回くらいクラスタ発生してますし。

感染拡大の危惧が拭い去れない

つい2か月前まで、建前の上では県境を越えて東京に出入りしてはいけないことになっていました。隣県からの参加者が多い弊会としては、都民だけでこじんまりと開催するのも味気ないものです。10月からGoToキャンペーンの仲間入りを果たしましたが、第3波が来てしまいました。まだ見通しは明るくないでしょう。

などなど、ゲーム会を再開するための強い自信を得るにはまだ至っていないという状態です。開幕から暗い話題になりましたが、久しぶりの更新でもありますし、現状をご説明すべきと考えこのようなエントリになりました。次は明るいトピックをお届けしたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

アドベントカレンダー:「オレ史(中編)」

War-Gamers Advent Calendar 2019」9日目の記事であり、前回の続きとなります。

中学生

 中学1年の時に友人宅で「信長の野望・全国版」(光栄)(MSX版)を遊びまして。時間の都合で領地が1国増えたあたりで打ち切ったのですが楽しかったですね。今になって思えば「拡大再生産」の快感を初めて味わった経験があれなのかなと思います。当然自分でも買いました。

 この友人は三国志のボードゲームも所有していまして、2人で対戦したのを覚えています。ただ、どこのメーカーのなんというタイトルかは覚えてないんですよね。ちなみに私の三国志知識はだいたいこの頃彼から借りた横山三国志でできています。
 彼とのつきあいはそんなに長く続かず、といっても喧嘩別れとかではなく、単に私が転校しただけなんですけど。

 信長と三国志によって覚醒したHA少年がその後ストラテジーゲームに耽溺したかというとそんなことはなく。これは主に2つの要因からなり、ひとつは欲望のままにゲームを買えるほど小遣いをもらってなかったこと(まあ当たり前ですね)。もうひとつは所有のパソコンが、富士通FM-7のホビーユース 後継機 たるFM-77L2というわかる人にはわかる、リリースされるゲームのタイトル数がちょっと残念な機種でして。そりゃまあ一応新御三家のひとつに数えられるだけあって、日立S1やソードM5よりはゲームも多かったですけど。PCゲーム市場は徐々にNECのPC-8801mkIISRの一人勝ちになっていきました。あ、もうひとつ要因ありました。8ビット機ではまだまだコンピュータに思考させるゲームは荷が重かったのです。ストラテジー系ゲームはPC-9801での開発が主流でしたね。

 ボード・ウォー・シミュレーションのブログのはずが、マイコン老人会みたいな記事になっていますがもう少し続けます。
 ゲームに飢えていたHA少年がどうやって渇きを癒していたかというと、雑誌です。その昔……というか一応10年くらい前まで刊行されていた「LOGiN」という雑誌がありました。いろいろ語れるのですが、「この界隈」に関係あるトピックだけかいつまむと、ミリタリー的な情報の足掛かりはこれでした。例えば「大戦略」の紹介記事にユニット解説として現用兵器の解説が載っていたりとかです。
 この界隈関連としてもうひとつ、ドのつく素人の私がなんとなくうっすらと出版物の製作工程に理解があるのは、編集者が積極的に誌面に露出していたこの雑誌を読んでいたからです。

中学時代といえばもうひとつ、バンダイのパーティジョイシリーズにハマっていた時期がありました。パーティジョイシリーズについては先日スモール出版からすばらしい本が刊行されましたのでゲームマーケットの会場で購入しました 。 【PR】(別に報酬ないけど)
 こんな感じでエポックとかタカラのゲームタイトルを網羅した本なんかも出てきて欲しいなあなんて思います。

高校生

 高1の時「SUPER大戦略」のカードゲーム(システムソフト / BNN)を持ってきたクラスメートがいまして(いま調べたら作者は黒田幸弘先生なんですね)、ほどなくしてまあ私も「いけるクチ」というのがバレまして。この頃は「Gun」の……本誌を定期購読する資金力はなかったので、たまに出版される別冊とかを買ってましたね。あと高校3年の冬、センター試験の3日前に入院するという面白エピソードがあるんですけど、友人たちが差し入れてくれたのも「航空ファン」だの「PANZER」だのほんとお前ら、って感じでした。
 ちなみに「タクテクス」の存在は知っていました。書店で平積みされているのを見たことあります。中は見なかったんですけど、見てたらその後の人生が少し変わっていたかもしれませんね。

 高校時代の出来事としては、冷戦が終わったり、湾岸戦争が勃発したりしました。リアルタイムにテレビで見た戦争というのはあれが初めてでした。っつうか戦場にテレビカメラが入ること自体、あのあたりからなんですかね?フォークランドの頃はまだ小さかったのでよく知らんです。
 受験生にとって、冷戦が終わるということは、ヨーロッパの国境線が書き換わって、覚えなきゃいけない国名がべらぼうに増えたことを意味しました。時事問題ということもあって、そのあたりは出題されるぞなんて脅されたりね。ドイツはくっついてひとつになったけど、チェコ=スロバキアもソビエト連邦もユーゴスラビアも分裂したので差し引きマイナス(プラス?)です。ちなみにアフリカでナミビアが独立したのもこの頃です。

 あ、大事なこと忘れてた。高校時代の社会の選択は世界史でした(そのあと地理もやった)。私の歴史知識はそこらへんがベースです。
 あと新紀元社の本とか買ったなあ。(ところで後年読み返して、「あれ、この著者あの人じゃん」となりました)

 ここまで小林源文とかパウル・カレルとか出てきませんね。すまんな。あっでもこの頃通ってた歯医者の待合室に小林源文の劇画が置いてあったので読みましたね。ルーデル、ハルトマン、パイパー、ビットマンあたりのエピソードはこれで知ったか。

 ……とかなんとかで、冬戦争のことをどっかで知ったんですよ。なんかの雑誌記事か漫画だったかは判然としないのですけど。寡兵のフィンランドがソ連の大軍を食い止めたエピソードは強く印象に残りました。
 そんなある日立ち寄った(韮沢靖の作品にハマってた頃だったのでサイン本を買いに行った時かもしれない)ポストホビーで「Arctic Storm」(GMT)に出会ったのでした。

おいおいおいおい

 随分引っ張りますねこの人?いやでもさすがに読むのも疲れましたでしょ。書くのも疲れた。続きはまたの機会に。