アドベントカレンダー:【Stay Home】「ウォーゲーマーに『Rebel Inc.』をプレイしていただきたい」

皆さまお久しぶりです(1日ぶり2回目)。「War-Gamers Advent Calendar 2021」5日目の記事でございます。
1年以上構想を温めていた記事なのですが、上手くまとまる気配も見えないのでもう放出しちゃいます。

『Rebel Inc.』とは

Plague Inc.』を生み出したNdemic Creationsがその次に開発したゲームです。恐らくコアのエンジンを流用して制作されたと思われます。最初にiOS、次いでAndroid用アプリがリリースされ、さらにSteamからWindows, macOS版がリリースされました。Steamのストアページはここ。プレイヤーはとある架空の戦争が終結したばかりの地域を復興し安定させる任務を帯びてプロジェクトを指導していきます。

ゲームは2002年4月から始まります。 このゲームには具体的な国家、組織、宗教などの名称は登場しませんが、どうやらプレイヤーの立場は国際的な機関から委任され、責任を負っているようです。周囲を山に囲まれたこの土地で人々は生活インフラの荒廃や、行政サービスの不足、経済の不安を訴えており、プレイヤーはそれらの復興に投資を行い、地域の安定化を図ります。

医療、教育サービスや交通・通信インフラ、経済活動への投資を行い復興を支援していく

しかし金の流れる先に不正あり。地域にお金を落とすと汚職のゲージが増加します。恐らく地域や産業界それぞれに地元業者への口利きや橋渡しを担う人物がおり、そこを通過するお金が幾分目減りしていたりするのでしょう。汚職が生じるとプロジェクトの進行に支障をきたします。内部統制で規律をただすことで民衆の支持を得ることができます。

時には逮捕などの強い態度も

そうこうしていると、ゲームマップ内に反乱軍が出現します。これは別にプレイヤーの失策とは関係なしに必ず現れ、彼らと和平を結ぶことで地域の安定が飛躍的に進捗するので結果的にゲームの終了条件となります。プレイヤーは軍事力も行使できる立場であり部隊に直接指示を出して反乱を鎮圧していきます。部隊には連合軍と自国軍があります。連合軍は強力で頼りになる存在ですが、外国の軍隊を招き入れて駐留させることには当然地域住民の反発がありますし、国際的にもあまり体面がよろしくなく、一定期間の後に帰還を迫られます。拒否してもよいのですが評価は落ちます。他方自国軍はそれほど強くはなく、また訓練して実戦に投入できるようになるまで時間がかかるため使いづらい、しかし住民との軋轢は少ない特性があります。内外の顔色を窺いながら要所に連合軍を投入して反乱軍を鎮め、自国軍に隙間を埋めさせることになるでしょう。このほか軍事的な施策にはドローンの投入や空爆要請など純粋に戦術的なオプションをはじめ、基地の設置や武器の調達、地域住民との融和なども実行できます。

このゲームのマップはエリアで区切られており、戦闘は同一エリア内のユニット同士で闘われます。そして反乱軍が不利を悟った場合は隣接エリアに退却しますがここでウォーゲーマーの皆さんならお馴染み、隣接エリアにプレイヤーユニットが存在する場合は退却できず壊滅します。 また戦闘中でない隣接エリアの部隊は戦闘中の部隊を支援できますので、連合軍を前線に立たせ周囲を自国軍で固めて支援するのが理想でしょう。

ウォーゲーマーなら包囲殲滅は常識

そうやってモグラたたきを続けていくとやがて反乱軍と対話するチャンスがやってきます。始めは反乱軍も強気なので交渉のセッティングが上手くまとまりませんが、ガンガン軍事的にやっつけてやると譲歩の姿勢を見せ始めます。やはり力こそパワー。暴力の後ろ盾なしには話し合いを始めることさえできないのです。とはいえこちらの姿勢が強硬だと民衆の人気は得られますが相手の反感は高まります。反乱が激化してこちらが譲歩せざるを得なくなるかもしれません。

和平交渉が開始されると協定締結にあたっての諸条件をすり合わせる必要が出てきます。反乱軍に譲歩を強いる内容を提案するとやはり人気は上がりますが、その内容を見ると武装解除ならまだしも、幹部の投獄などちょっと酷薄なものもあり、そりゃ抵抗も激しくなるわと思います。しかしゲームの難易度によっては多少足下を見られてもとにかく和平を急ぐ決断をすべき場合も出てきます。そこで突っ張って戦乱に収拾がつかなくなるとプロジェクトは遂行不可能となりプレイヤーは解雇されてしまいます。

和平協定を結ぶとゲームクリア

で、言いたいこと

というわけで長々とゲームの流れをご説明してきましたが今回これをブログのネタに取り上げましたのは、直接的にはスマホアプリ版のユーザー評価を目にしたことをきっかけとします。評価全体で見れば好意的なもののほうが数が多いようですので心配はしていないのですが、レビュー単体でみると低評価のほうが同意を集めている傾向が見受けられます。評価の低いものにわざわざレビューをしたためる人が少ないということなんでしょうか。まあそれはさておき、低評価レビューを読む感じ、どうも受け手側の情報の解像度が低いことに起因しているんじゃないスかねそれと言いたくなるものがほとんどです。

ゲームなのだから、パーフェクトな勝利への道筋が用意されているしそれは達成できるものだとユーザーが期待してしまうのは仕方ないです。しかしこのゲームの端々から感じ取れるのは、そんな完全に相手を打ちのめす勝利はロクなもんじゃなかろうということ。またゲームクリア後の統計を見ても、特にプレイヤーとそのプロジェクトが満場一致で支持されたわけでもないことがわかります。積極的な支持者はせいぜい人口の2割ほど、敵対者も消滅したわけではなく、住民のほとんどはどちらにもつかず、将来の国家運営によってはこの平和もまたどうなるのか、危うさを残したままです。

平和もまだ始まったばかり

この0か100かではない中間の状態に一応の勝敗を見ることをウォーゲーマーは習慣的に違和感なく受け容れてきたと思います。また前述のとおり本作には具体的な国家や組織の名称は登場しないのですが、ウォーゲーマーならば本作をプレイすることで色々とナラティブを紡ぎだす材料を心の抽斗にお持ちだろうと思います。そういったわけでまあウォーゲーマーこそが本作を余すことなく楽しめるんだぞという主張を唱え、皆さまにお勧めするところであります。

とりあえず『A Distant Plain』を遊びたくなりますよね。なんでかは知りませんけど。

アドベントカレンダー:「ソフィアゲームクラブ再開はいつ?」

皆さまこんばんは。1日ぶりのご無沙汰でございました。「War-Gamers Advent Calendar 2021」3日目のエントリーとなります。

前回のエントリーでソフィアの再開時期について後日の発表に回すと書きました。なぜかというと緊急事態宣言解除後の基本的対策徹底体制が11月30日付でいったん区切りがつき、新しい体制となることが予期されたからです。というわけで更新された利用案内ですが……

基本的対策徹底期間中(東京都が「レベル1」の状況にある間)の施設利用について(11/30更新)

うーん、いける……かな?大声を出すことが想定される活動ではマスクに加えてフェイスシールドの着用が必須とされていたのが 私にとって最大のメンドクサポイント だったのですが、合唱と演劇立ち稽古以外は、大声を出す活動ではありませんと押し通せそうですね。同じ演劇でも台本読み合わせは大声の部類に入らないとされているので。

ただまあここへ来て新たな変異株の報告もされましたし、年末年始にかけて何かと軽率な行動をする人も増えそうだしで、年明けから半月くらいは様子を見ようかなという気持ちです。

で、たったいま

来るべき再開の日に備えAmazonで非接触型体温計を探して、ブラックフライデーセールで安くなっていたもの(2300円くらい)を注文したのですが……。後になってアイリスオーヤマのDT-103に形状がよく似ていることが判明しまして。これパチモンかもしれませんね。まあ、やってる感だけ出せればいいんで。これでもいいか。

開催の目途が立ちましたらまたこちらでご案内いたします。皆さまと再会できる日を楽しみにしております。

あ、あとそれから、オジー・オズボーンさん、お誕生日おめでとうございます。

アドベントカレンダー:「フリーウェアで作るユニット画像」

皆さまご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか。
私は11月の頭にようやく2回目のワクチン接種を完了しまして、とりあえずの安心を得たところです。

さて今年もやってまいりました。「War-Gamers Advent Calendar 2021」初日の記事となります。
振り返れば前回のエントリーが昨年のアドベントカレンダー記事です。実に1年ぶりの更新となりますね。

皆さまはソフィアゲームクラブ再開の見通しについて関心がおありと思いますが、それはいったん後日に回しまして今回はウォーゲームDTPの話。

さてウォーゲーマーたるものユニット自作のひとつやふたつはご経験があろうかと思います(威圧)。
コンピューターの個人使用が当たり前となった現代。計算機技術がウォーゲーム出版にもたらす恩恵は多大なものであります。皆さんもユニット作成の際はパソコンで何らかのソフトウェアを用いて いらっしゃることと思います。そんななか皆さんはNATO兵科記号のを描画する際にどのような手法、ツールをご利用でしょうか。

LibreOffice Calc

表計算ソフトを使用する方は多いかもしれません。たいていのソフトは図形の描画機能があります。上図くらいの記号なら余裕でしょう。

なんかこれでも良いような気がしてきましたね……。しかし今回お話ししたいのはそうじゃないのです。ただまあこのエントリーは自説の正しさを証明するとかそういう趣旨ではないので、特に表計算ソフトのデメリットをあげつらうこともなく淡々と過ぎ去っていきます。

PostScriptで兵科記号を描く

GUIでオペレーションする(広義の)WYSIWYGなソフトウェアでグラフィックデザインをすると、マウスで的確な位置をポインティングする必要が生じてイラつくことがあります。具体的に言うと、ある図形をちょうどいい場所に配置するとかですね。Adobe Illustratorなんかだとある程度大雑把に置いてから座標のプロパティを数値入力で調整できたりしますが、それもやや煩雑です。

私はコマンドライン操作がまったく苦でない、むしろプログラマブルなのでそちらを歓迎する部族の民でありますから、グラフィックデザインも文字ベースでやりたい。そこで登場するのが古えより伝わるページ記述言語PostScriptです。

PostScript(拡張された Encapsulated PostScript )で長方形と対角線を描く

上図の右側、数字とアルファベットで記述されているのがPostScriptの描画手続きです。簡単に解説すると、指定した 座標 に直線を繋げていく命令を発して図形を描画しています。

私にとってストレスがないのはマウスで繊細な操作をせずに済むところです。座標は数値で表され曖昧なところがありません。そしてこれを作成するために特別なツールは必要としません。ご覧のとおりただのテキストファイルですのでお手元のテキストエディタ(メモ帳などでも。 上図の例ではEmacs)で作成できます。またこのデータは「図形の描き方」であるので、画像そのものよりもデータ量が小さくなります。ちなみに上図のEPSファイルのサイズは197バイト、メガでもキロでもありません。これをJPG画像にエクスポートすると6611バイト(6キロバイトちょい)になります。さらにPostScriptはこう見えて立派なプログラミング言語でありますから……、

同じ図形をよりプログラムらしく記述

……始点と縦横のサイズだけ定義し、その他の座標は計算で導出することができます。ご存じない方のために付記すると、逆ポーランド記法(後置記法)で 記述する スタック志向のプログラミング言語となっています。FORTHなどと同じ。

2つの円弧を追加した

PostScriptは曲線も数字データと命令のセットで描画できます。もうマウスでいい感じのベジェ曲線を作る必要はないのです!

マウスでベジェ曲線苦手なんスよね……

ちなみにPostScriptは文字を表示することもできますので

テキスト表示もプログラミングできる

こんなこともできます。ただまあ、個人的にはテキストと図形は同じレイヤーに置かないほうが後々便利だと思います。

PostScriptを解釈できる画像作成・編集ソフト

さて作成したEPSファイルを画像にするには、PostScriptを解釈し且つ画像としてエクスポートできるソフトウェアが必要なわけですが、さすがにWindows付属のペイントというわけにはいきません(試した)。その点、プロが使うようなツールなら問題ないですが、ちょっと試してみようくらいのモチベーションであれば、安くはないライセンス料を支払うことに抵抗があるかもしれません。そのくらいのニーズにちょうど良いと思われるのがGIMPです。GIMPは元々Unix系OS向けに作られたソフトウェアですが、現在はWindowsやmacOSでも利用できます。

「おめぇ、そんなにCLIが好きならImageMagickだろ」という声が聞こえなくもないのですが、まだちょっと使いこなせてないですね。ウォーゲームのユニットのように、決まったフォーマットで異なるデータを載せた画像を量産したい時に強力なツールになる予感はあるのでこれから勉強させていただきます。

蛇足。

GIMPから生のビットマップデータ(bmp)をエクスポートしたとしましょう。それをペイントで開いてCtl+cなどでクリップボードにコピーすると(PowerShellだとペイントを介在させなくてもできるのかな?)

昔なつかしCyberboard

こういうこともできます。いや、今どきやる人もいなさそうですが。でもまあCyberboardって、プロトタイプを手っ取り早く形にするには手軽なツールだと思うんですよね。そんな感じで公開の時が迫ってきました(30分くらい)ので今日はここまで。まったねーノシ